よく「葉隠って何?」と聞かれます。何と答えていいのやら…。
武士道について知りたいのであれば、葉隠は必須の書物。ですが、意外とどういった書物か分かっていない人も多いのでは…?『小説 葉隠』は、そんな葉隠が全く分からない人にまず最初におすすめしたい一冊です。
その理由は、その名の通り葉隠が小説風になっているからです。この物語を読めば、『葉隠』が作られた背景が簡単にイメージ出来ます。
『小説 葉隠』の内容
『小説 葉隠』は、山本常朝と田代陣基の対話を再現している小説です。
出だしは陣基が常朝の草庵を訪れるところから始まります。陣基の質問や相談に常朝が答えるというスタイルで、二人の会話が進められていきます。もちろんその会話は葉隠の内容に沿っています。(葉隠の内容が全て含まれているわけではありません)
いとも簡単に葉隠の世界に入れてしまうのがこの小説の素晴らしいところだと思っていて、これなら葉隠を知らない人にも気軽におすすめ出来ます。著者は童門 冬二氏。数々の歴史小説を手掛けている作家さんです。
→『小説 葉隠』童門 冬二 (著)
『葉隠』とは
『葉隠』とは山本常朝が語ったことを、田代陣基が筆記してまとめたものです。
山本常朝と田代陣基
山本常朝とは・・・。
二代佐賀藩主鍋島光茂に仕えた佐賀藩士。光茂が没した後に金立山の草庵に隠棲する。常朝は光茂が没した時に殉死を願ったが、殉死禁止令により断念せざるを得なかった。
田代陣基とは・・・。
三代藩主綱茂と四代藩主吉茂に仕えた佐賀藩士。常朝が隠棲して10年後に草庵を訪れ、ここから葉隠の舞台が始まる。
『葉隠』の内容
葉隠にはこのような事が書かれています。
・佐賀藩士としての心構え
・佐賀藩鍋島家の歴史
・佐賀鍋島武士のエピソード
・常朝自身の略歴
恋愛について、切腹について、あくびをとめる方法…など、かなり幅広く書かれています。
葉隠は武士道を説いたもので、武士道と言えば葉隠と言ってもいいのではないでしょうか。
そして、武士道と言えば執行草舟氏です。彼は『葉隠』だけが「武士道そのもの」を描き出したと言っています。名言ですね~。ちなみに私は執行草舟の大ファンです。武士道について書かれた書籍が多く、またそれがとてもかっこいいのです♡
→執行草舟 オフィシャルサイト
あ、話がそれてしまった…。
『葉隠』現代語訳付き
今回紹介した『小説 葉隠』。まずはこの小説で葉隠の背景がイメージできるようになってから、今度は現代語訳の葉隠を読むことでより深く武士道について知ることが出来ると思います。
ちなみに葉隠の現代語訳付きでは『新校訂 全訳注 葉隠』が読みやすく、とても優れている本だと思います。上中下巻あり、結構なボリュームです。
また、葉隠の解釈本である、三島 由紀夫の『葉隠入門』もおすすめです。
後半に葉隠れの原文と現代語訳が抜粋されている名言抄が掲載されています。ほんの一部ではあるものの、最初に武士道を学ぶには十分な内容だと思います。
現代にも十分応用できる実践書で、私の愛読書でもあります。
まとめ
今回は、山本常朝と田代陣基の対話を再現している小説、『小説 葉隠』を紹介しました。全く葉隠を知らない人や、サラッと葉隠の世界を体験してみたい人にもおすすめです。
→『小説 葉隠』童門 冬二 (著)