インスタで発見した染井為人さんの小説。最初に読んだのが『正体』。
これが予想以上に面白かったので衝撃を受けました。すごく有名なのになぜ今まで読まなかったんだろ…?
彼の小説は主に社会問題を題材にしていて、かなり重たい内容が特徴。それがまた魅力なんですよね。どうやら作家デビュー前は、芸能関係の仕事をしていたこともあるらしいので、それなりにダークな世界を知っているはずです。
そんな染井為人さんは、ミステリーやサスペンスが好きな人に堂々とおすすめ出来る小説家です。いつも本のタイトルがシンプルで、またそれが意味深でもありますね~。
ということで、読んだ本を紹介したいと思います。刺激が欲しい人、寝不足になるぐらい面白い本を読みたい人におすすめです。
📙正体 染井 為人 (著)
脱獄した死刑囚が主人公のサスペンス小説。正体を偽りながら、各地で潜伏と逃走を繰り返す。
<キーワード>冤罪・社会問題
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埼玉一家惨殺事件の未成年死刑囚が脱獄する。その少年は各地で潜伏と逃走を繰り返す。その間に少年と接した人達が彼に抱いた感情や人物像とは。
そして潜伏先での少年の行動をつなぎ合わせるとその目的が…。
🗨️感想
読んだ後にズーンと重い余韻が残り、喪失感でいっぱいになります。無駄な場所が一つもない完璧なストーリー展開で、ページをめくる手が止まらなかった!
✔️とにかく読むしかない。
→『正体』光文社 (2020/1/21)
📙鎮魂 染井 為人 (著)
半グレ集団「凶徒聯合」のメンバーが次々に殺害される。すこぶる頭の切れる犯人に、メンバーも警察も振り回される。
<キーワード>復讐
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残虐な半グレ集団「凶徒聯合」のメンバーが次々に殺害される。犯人はこのメンバーに深い恨みを持つ男。失った大切な家族の為、復讐の化身となる。
🗨️感想
あの手この手で振り回され、そうきたかぁ。『正体』同様、しんみりとした余韻の残る物語だった。そして残虐過ぎて善悪の感覚がよくわからなくなる。実際にこのような組織があると思うとゾッとする。
✔️やられたらやり返す、そこには悲しみの連鎖しか生まれない。
→『鎮魂』双葉社 (2022/5/19)
📙震える天秤 染井 為人 (著)
高齢ドライバーによる死亡事故が発生。そこに取材に行ったライターが主人公。加害者の村を訪ねるが、村人達が何かを必死に隠している。
<キーワード>高齢者ドライバー・過疎・認知症
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コンビニに車が衝突し、中にいた店長が死亡する事故が発生した。加害者は過疎化が進んだ小さな村落に住んでいた。
警察やマスコミによると、今回の事故はただのアクセルとブレーキを踏み間違えた認知症の高齢者による事故として捜査されている。しかし、この村を訪ねたフリージャーナリストの主人公は、村人たちを独自に取材するうちに、何か大きな違和感を持つようになる。
🗨️感想
過疎化、虐待、認知症、災害、セクハラ、パワハラ、少子高齢化、高齢者ドライバーなど、実に様々な社会問題を練り込んで作られているのが面白い。さすが。ただもう少しドキドキハラハラしたかった。
✔️認知症かどうかの判断はむずかしい!
→『震える天秤』 KADOKAWA (2019/8/30)
📙正義の申し子 染井 為人 (著)
引きこもりのユーチューバーが悪徳請求業者と直接対決をしようとするが、お互いに複雑な状況に巻き込まれピンチになる。
<キーワード>二重人格
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引きこもりのユーチューバー、ジョンが悪徳請求業者に電話をかけ、相手(鉄平)をおちょくる。さらに、直接対決を動画で配信しようと考えるジョン。鉄平もジョンに仕返しをしようと、動画を手がかりにジョンを探す。二人が会うことになってから揃って大ピンチに陥ってしまう。さらに女子高生のジョンの妹とその友達もトラブルに巻き込まれる。
🗨️感想
ジョンが気色悪かったけど面白かった。ジョンも鉄平もどっちもどうしようもないヤツだけどなぜか嫌いになれない。最後良かった~。
✔️マスクを取る、マスクを被る。
→『正義の申し子』 KADOKAWA (2021/8/24)
📙黒い糸 染井 為人 (著)
結婚相談所でアドバイザーとして働くシングルマザーが主人公。ある日、息子の小学校で女児が失踪するという事件が起き、その事件に巻き込まれてしまう。
<キーワード>宗教・遺伝・行動遺伝学
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主人公の息子の小学校でクラスメイトの疾走事件が起きる。事件後に休職してしまった担任に替わり、引き継いだ新しい担任がクラスの女児から犯人について心当たりがあると聞かされる。その後、その女児も事件に巻き込まれて重傷をおってしまう。
🗨️感想
いつも通り、みんながしっかりと事件に巻き込まれてしまう。他の作品に比べて残酷なシーンが少ないので読みやすかった。
本当に上手に仕上げるなぁと、毎回関心する。そして面白い!
✔️ヒトコワ~
→『黒い糸』 KADOKAWA (2023/8/30)
📙海神 染井 為人 (著)
東日本大震災を題材にした社会派ミステリー小説。被災した天ノ島のための復興支援金が不正に使い込まれているという疑惑が発生する。
<キーワード>横領・復興ボランティア・アレキシサイミア
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震災後、行政が機能しなくなり2日も経つのに救助隊がやってこない小さな島。ボランティアとして訪れた女性、そして災害対策のプロとして島に入り込んだ、NPO団体の代表の男。
それから2年後、被災した天ノ島のための復興支援金が不正に使い込まれているという疑惑が発生。さらに10年後、島の海から黄金のインゴットが見つかり、事件は動き始める。
🗨️感想
最初から泣ける。最後に書かれている参考文献を見た時切なさが倍増した。
物語はフィクションと言えど、実話に基づいている部分が多いと思う。
島で起こった数々の心霊現象に感動した。
✔️実際に被災した人には辛すぎる内容
→『海神』K光文社 (2021/10/19)
さらに追加で読んだ本『滅茶苦茶』が、最近の社会問題をふんだんに取り入れた恐ろしい作品でした。
・Go Toトラベルの利権
・国際ロマンス詐欺
・リモートワーク
・持続化給付金の不正受給
・マッチングアプリ
・煽り運転
・普通の主婦の売春ビジネス
・キックバック
・チャイニーズ系詐欺グループにチンピラヤクザ
・ウーバーイーツ
・病院での面会禁止
などなど・・・もう凄すぎ。
結局最後は猛ダッシュするのがこの作家さんの特徴なんだと気づいたような気がする(笑)
📙滅茶苦茶 染井 為人 (著)
コロナ禍の鬱々とした世の中が舞台。3人の人生転落エピソードを絡み合わせた人怖ストーリー。
<キーワード>新型コロナ・詐欺
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プライドの高い独身のキャリアウーマン、進学校に通うが学校についていけずに地元の不良とつるむようになった高校生、3件のラブホテルを経営している3人の子の父親。この3人の人生がハイスピードで悪い方向に向かってしまう。
🗨️感想
詐欺、不正受給、マフィアにヤクザに売春ビジネス。ホント滅茶苦茶。
「コロナ禍対策で打ち出される政策って、結局の所パフォーマンスで、お偉いさんや大きい会社が中抜きして儲けてるだけ」ってさりげなく本当の事を言っててナイスだと思った。
✔️新型コロナウイルスに必要以上におびえてしまったのはメディアのせい。
→『無茶苦茶』講談社 (2023/5/10)
どんどん読んでいきますよー!次はこちら『悪い夏』。
日本における生活保護制度を題材にした人怖小説で、今回も現代の様々な社会問題を練り込んで仕上げてありました。
・生活保護受給者の増加問題
・ケースワーカーの対応
・医者とグルだったり、家族とグルだったりの悪質な不正受給
・育児放棄に虐待
・貧困と貧困ビジネス
・違法ドラッグの売買ビジネス
と、まぁ相変わらずです。
染井さんの作品に出てくる登場人物があまりにも恐ろしくて、いつも一気に読んでます(笑)
📙悪い夏 染井 為人 (著)
悪い人だらけが登場する、生活保護制度を題材にした小説。生活保護受給者のもとを回るケースワーカーの人生転落劇。
<キーワード>不正受給・ドラッグ・貧困ビジネス
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生活保護受給者のもとを回るケースワーカーの主人公が、同僚の悪事をあばこうとしたことをきっかけに人生を転落させてしまう。
生活保護の不正受給者、育児放棄の母親、ヤンキー、ヤクザ、闇医者…。どうしようもない悪い人達が次々と登場する。
🗨️感想
最後、凄い状態をサクッと描いているのがウケた。
フィクションだと分かっているが、結局本当に必要なところに国からのお金が回っていないんだろうなぁ~と想像した。
✔️近くにいると「悲劇」に見えるものが、遠くからは「喜劇」に見える
→『悪い夏』KADOKAWA (2020/9/24)
ランキングにしてみました。染井為人さんのミステリー小説
1位:正体
2位:悪い夏
3位:黒い糸
4位:無茶苦茶
5位:海神
6位:鎮魂
7位:正義の申し子
8位:震える天秤
勝手にランキングにしてみましたw
まだ読んでいない本もあるので、今のところこんな感じです。
まとめ
何だろう…はずれがない。やっぱり面白いですね~!染井さんの作品は。実際に今起こっている社会問題の裏を描いていて、かなり闇深いものを感じます。
そして私の周りにはいないタイプの人間ばっかりが出てくるのである意味勉強になります。あ~こわいこわい。
改めて自分が恵まれた環境にいることに感謝したくなりました。感謝。
さて、次は何を読もうかなぁ。。。