認知症の人がどんな不安を抱えているのか?
どんな気持ちなのか?
頭の中はいったいどうなっているのか?
認知症の疑いを掛けられた本人の目線で書かれている小説『ユートピア老人病棟』ボケた人にしかわからない世界を物語にしています。
ストーリーがとても面白く、読んだ瞬間から好きになってしまいました。ぜひ多くの人に読んで欲しいので、簡単に紹介します。
あらすじ
主人公は家族から認知症の疑いをかけられた79歳の湯浅マキ。元眼科医のいたって元気な高齢者です。
本人はボケているという実感はありません。まわりの反応や行動のほうが普通じゃないように思えます。そのため、時々ボケ扱いされてしまうのがとても気にさわります。
なんだかんだと家族の口車に乗せられた格好で、老人病棟なんかに入院させられたマキ。当然ショックを受けます。
さて、マキはこの病棟でこれからどうなるのでしょうか・・・。
まとめ
認知症の人の不安や心境を、認知症の側から描いている小説『ユートピア老人病棟』。
とても上手に認知症の人の気持ちを描いていると思います。明るく、楽しく、面白いストーリー展開で、老人病棟の様子もホントあるあるで共感できました。
隙を見て脱走を企てたかと思えば、今いる場所を楽しんでいたりもする主人公のたくましいキャラがとても面白かったです。
これを読めば全く介護に携わったことがない人でも、今まで謎だった認知症の人の気持ちや行動が少しは分かるのではないでしょうか。
認知症、とはいっても、本人からしたらいたってまともなのであります。
ププっと笑える、認知症がテーマの小説を読みたい人におすすめです。
『ユートピア老人病棟』
江川 晴 (著)